メディカル・プロテオスコープはプロテオミクスのエキスパートです。プロテオミクスの技術開発と医学・生物学への応用を軸に事業を展開しています。また、整備した分析手法を研究機関向けの受託分析にも活かし、我が国のオミクス研究のレベルアップに貢献しています。

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リン酸化プロテオミクス

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リン酸化プロテオミクス

メディカル・プロテオスコープのプロテオーム受託分析
 タンパク質のリン酸化は重要な翻訳後修飾のひとつであり、とくに可逆的なリン酸化は細胞内シグナル伝達の中心的な役割を担っています。MPSのサービスでは、リン酸化ペプチドの選択回収技術と非標識LC-MS/MSを用いてリン酸化プロテオームを分析します。この分析系を用いた場合、たとえば培養細胞から最大3000種類のリン酸化ペプチドについて試料間の計量比較情報を取得することができます。

 

リン酸化プロテオミクスの原理

 リン酸化ペプチドを高い効率で検出するためには、リン酸基が付いているペプチドをペプチド混合物から選択的に回収しておくことが必要です。現在までに異なる原理の選択回収法がいくつも発表されているのですが、MPSでは二酸化チタン(チタニア、TiO2)ビーズを用いる方法を最適化しています。条件を工夫すると、リン酸基をもつペプチドが二酸化チタンに特異的に吸着します。
 チロシンリン酸化に注目した研究には抗リン酸化チロシン抗体を用いる方法が適しています。
 
 
分析の手順

 マイクロピペット用のチップの先端に二酸化チタンのビーズを充填して用います(図1)。充填したチップは使い捨てですので、試料間の相互汚染の心配がありません。
 
 
分析例

図1.ピペットチップに充填された二酸化チタンビーズ

 
 培養細胞などの出発試料から調製したペプチド混合物の溶液を、二酸化チタンビーズの上に添加します(図2)。そうすると、ペプチドのリン酸基がビーズ上の二酸化チタンに特異的に結合するため、リン酸化ペプチドはビーズに保持されます。一方、非リン酸化ペプチドは保持されずそのまま溶出されます。最後に弱塩基の水溶液を添加すると、ビーズに結合したリン酸化ペプチドが水溶液とともに溶出されます。
 

Enrichment

図2.二酸化チタンビーズによるリン酸化ペプチドの選択回収の手順

 
 
 なお、上記の手順では、溶媒の添加と遠心を繰り返すことによって、リン酸化ペプチドの結合、ビーズの洗浄、およびリン酸化ペプチドの溶出をおこないます(Sugiyama et al., Molecular Cellular Proteomics 2007)(図3)。
 

チタニアカラム0618図3.二酸化チタンビーズへの溶液の添加と遠心の操作

 
 
 上記の手順で回収したリン酸化ペプチドの混合物は、通常のペプチド混合物と同じようにLC-MS/MSに導入します。多くの培養細胞では回収処理を経た場合、同定ペプチドの90%以上がリン酸化体です(図4)。 
 

リン酸化ペプチドの選択回収の効果図4.リン酸化ペプチドの選択回収の効果

リン酸化プロテオミクスを活かした分析例
 
次のような研究に最適です。
・培養細胞や生体組織のリン酸化を網羅的に調べる。
・ある特定のタンパク質キナーゼのノックダウンによって生じる細胞内リン酸化状態の変動をとらえる。
・プルダウン精製したタンパク質のリン酸化部位をもれなく同定する。
 
 
分析の対象
 
・培養細胞
・組織検体(凍結あるいはホルマリン固定済)
・培養上清
・プルダウン精製試料
・血漿/血清
など多数。
 
 
おもに使用する分析機器と解析ソフトウェア
 
質量分析計
 Q ExactiveTM 四重極-Orbitrap質量分析計(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
液体クロマトグラフ
 UltiMate 3000 RSLCnanoシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
配列データベース検索
 Mascot® Server ver. 2.8(マトリックスサイエンス)
LC-MS/MSデータの計量比較解析
 Proteome DiscovererTM ver. 3.0(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
 
おもな納品物
 
分析報告書: 試料調製からデータ解析までの各工程を詳述します。分析結果への簡単な考察も加えます。
タンパク質/ペプチドの同定結果および計量値: 表計算ファイルにまとめたものを添付します。
 
 
分析の成功のために

・出発試料に含まれるタンパク質の量は、網羅的な分析の場合100 µgを基準にしています。ただし、これより少ない量でも充分な結果が得られることが多いです。

・提供試料の総タンパク質量の測定値がご依頼者と当社の間で大きく隔たっている場合は、お打ち合わせの上、提供試料の再調製をお願いすることがあります。

・試料を準備される前にあらかじめご相談いただくと、質と量ともに満足いただける分析結果が得られる可能性が高くなります。

・分析の成否は試料の状態にも依存しますので、最初は少数試料を用いた事前検討をお勧めします。
 

2024年1月16日更新

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