個別タンパク質の定量分析
候補タンパク質を次のステージへ
現在の分子・細胞生物学では、特定の細胞機能に関わるタンパク質群、またはそれらの翻訳後修飾を検出・定量することはとくに重要な課題です。また、創薬研究やバイオマーカー探索で挙がる候補タンパク質は、実用化に向けてさらなる絞り込みと検証の対象とされます。検証項目の一つである定量試験は、候補タンパク質検出の再現性の確認ばかりでなく、その結果が開発継続の決め手にもなります。
質量分析は、複数のタンパク質の動態を直接かつ区別して測定することが可能であり、抗体の結合特異性を利用した定量法とともに多くの研究で採用されています。質量分析を用いた定量法は選択反応モニタリング (Selected reaction monitoring, SRM/MRM) が定番ですが、当社ではイオンの分離性能がより高い Parallel reaction monitoring (PRM) を常用しています。
定量分析のフライヤーはこちらです。
定量分析の概要
PRMではOrbitrapをはじめとする高精度・高分解能の質量分析計を用います。ペプチド混合物を測定に供することはショットガン法と同じですが、測定対象のペプチド断片とその生成イオンに合わせてあらかじめ質量分析計の測定条件を設定します(図1)。分析中に条件を高速で変換することによって、複数種類のペプチドからそれぞれ生じる生成イオンを連続かつ選択的に検出・定量します。

図1.LC-PRMによるペプチド断片の定量測定
定量分析の際は、安定同位体原子を導入した合成ペプチドを測定試料に既知量添加します。合成ペプチドの生成イオンの検出強度を用いて、測定対象である内在性ペプチドの定量値を求めます。
定量分析のご相談から納品まで
一連の工程では、ご依頼者との間で綿密に打ち合わせながら分析を進めます(図2)。

図2.ご相談から納品まで
定量分析の適用例
タンパク質アイソフォームを区別して検出: アイソフォームを区別する抗体が用意できない場合などに有効です。各アイソフォームでユニークなペプチド断片を測定対象にします。
複数のタンパク質の同時定量: 数種類から100種類以上のタンパク質を定量測定の対象とすることが可能です。
バイオマーカー候補の検証: 候補タンパク質の定量測定系を構築します。最適化した測定系は、候補タンパク質の判別能の評価などに用います。
翻訳後修飾の定量測定: 定量対象タンパク質の修飾アミノ酸残基が決まっている場合は、網羅的に分析するよりも正確かつ確実です。
分析の対象
・精製タンパク質の溶液
・無細胞合成系
・培養細胞
・培養上清
・血漿/血清
・ホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE) 組織の薄切切片
など多数。
おもに使用する分析機器と解析ソフトウェア
試料の測定前処理(自動化)
KingFisher Apex(サーモフィッシャーサイエンティフィック): 96ウェルを1単位とした複数試料の同時調製が可能です。
質量分析計
Q Exactive Orbitrap(サーモフィッシャーサイエンティフィック): PRM 用
液体クロマトグラフ
Ultimate 3000 RSLCnano(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
測定データの解析と整理
Skyline ソフトウェア (MacCoss Lab.)
おもな納品物
分析報告書: 試料調製からデータ解析までの各工程を詳述します。分析結果への簡単な考察も加えます。
タンパク質/ペプチドの定量結果: 表計算ファイルにまとめたものを添付します。
分析データ類は、ご依頼者による調査検討等にご活用いただけるよう、十分整理した上でご提供します。
分析の成功のために
・試料を準備される前にあらかじめご相談ください。質と量ともに満足いただける分析結果が得られる可能性が高くなります。
・安定同位体標識ペプチドはご依頼者のもとでご用意いただくか、あるいは当社から合成を外注することもできます。
・分析の各段階で随時状況をご説明します。
・定量対象のタンパク質に由来するペプチド断片が検出できないことがあります。検出の成否は事前の検討で明らかにします。
2026年8月31日更新
お問い合わせはこちらから
オンライン形式のお打ち合わせも大歓迎です。








