日経産業新聞「バイオ これで攻める」に掲載(2008.3.24)


 

 ベンチャー企業のメディカル・プロテオスコープ(東京・新宿、松島日出夫社長)は、たんぱく質の解析技術を使い、医薬品の開発などを支援する。副作用が現れた患者の血液に含まれる様々なたんぱく質を分析し、副作用が出やすい体質かなどを調べる。松島社長は「独自開発した技術を生かし、患者の体質にあった医薬品の開発を後押ししたい」と考える。

 「このたんぱく質が『マーカー』になるじゃないか」。研究者が真剣なまなざしでコンピューターの画面を見詰める。薬で副作用が出た患者を調べると、血液中に特定のたんぱく質が多い場合がある。一種の指標に使えるたんぱく質を探し出す技術が同社の強みだ。

 数千種類以上のたんぱく質が血中に含まれ、ほとんどが副作用とは無関。グロブリンやアルブミンなど一般的な成分を除去した上で、副作用が起きた患者と起きなかった患者の血液を詳しく比較分析する。「一ミリリットルあたり十ピコ(ピコは一兆分の一)モル程度の微量たんぱく質なら検出できる」(松島社長)という。

 独自に開発したシステムを使い、二つの検体のごくわずかな違いを統計的なデータ解析手法で見付け出す。「血液中に特定のたんぱく質が多い人に副作用が起きやすいと分かれば、事前に血液を調べ薬の投与を見合わせることもできる」(松島社長)。

 メディカル・プロテオスコープは英製薬大手グラクソスミスクラインの旧筑波研究所いた研究者らが二〇〇二年に独立して設立。バイオ分野に特化したベンチャーキャピタル、バイオフロンティアパートナーズ(東京・中央)の出資を受けるなど、外部の支援も活用してきた。医薬品開発に役立てたい製薬会社のほか、大学や研究機関とも共同研究を進める。

 例えば英系製薬会社アストラゼネカとも、抗がん剤「イレッサ」の副作用について共同研究に取り組んでいる。イレッサは薬効に期待する患者も多いが、一部患者に副作用が生じている。患者ごとに副作用発生のリスクを見極められないか、指標となるたんぱく質の調査を進めてきた。

 複数のたんぱく質がマーカーになることがこれまでの研究で明らかになった。「七−八割程度は予測できる見込みだが、実用化にはさらに精度を上げる必要がある」(松島社長)と引き続き研究に力を入れている。

 売上高は二〇〇七年三月期で二億六千二百万円。創業間もない研究開発型企業なだけにまだ赤字だが、企業との共同研究などを増やして早期の黒字転換を目指す。

 同社の技術を使えば、薬の副作用を避けるだけでなく「特定のたんぱく質を持った患者の場合、薬が良く効くということも予測できる」(松島社長)医師が患者にあわせて最も安全で効き目が高い薬を選び、投与することも可能になる。「それぞれの患者にあわせて最善の医療を実現する」夢も抱いている。

 (記事抜粋)

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