日経産業新聞「点検 大学発VB」

たんぱく質効率解析−資金調達へ上場を検討(2006.5.9掲載)


 

メディカル・プロテオスコープ(東京・新宿)はヒトの細胞や組織で作られるたんぱく質の解析技術に強みを持つ。血液サンプルからがんなど特定の疾病で特異的に発現するたんぱく質を調べ、病気の予防や薬剤の効果的な投与に役立てる。大手製薬会社などと相次いで提携し、患者ごとに最適な医薬品の投与が可能になるテーラーメイド医療の実現を目指す。

 「解析技術を基盤にして、製薬会社との提携が広がってきた」。松山哲人社長は事業拡大に手応えを感じている。(中略)東京医科大学の加藤治文教授と共同研究の体制を築いた。

 がんなどにかかると、病気にかかわるたんぱく質が血液中に増える。ただ、血液中のたんぱく質の9割程度が診断には不要。メディカル社は測定誤差の原因となる血液中の物質を前処理段階で除去するノウハウを確立。効率よく解析するためのソフトを独自開発するなど工夫を重ね、副作用の原因になる可能性があるたんぱく質を特定する精度を高めた。共同研究を行う東京医科大を通じて確保した血液サンプルを研究に生かしている。

 ヒトのゲノム(全遺伝子)解析が03年に終了。病気の原因と相関関係が高いとされる、全てのたんぱく質を指すプロテオームの解析に焦点が移るとみられている。

 同社が国内外の製薬会社から注目されるきっかけになったのが、英製薬大手のアストラゼネカとの提携だ。アストラゼネカが世界で販売する抗がん剤「イレッサ」の効き目の判別や投与後に発現するたんぱく質を解析することで、副作用の予測につながる臨床マーカーの開発に取り組む。一般の抗がん剤は治療効果が限られるほか、副作用があると、患者の負担は更に重くなる。

 最近は大鵬薬品工業などとも共同研究を開始。副作用を未然に防ぐ有効な手法の一つとして、たんぱく質解析に対する需要はこれから、更に高まる見通しだ。(中略)

 同社のたんぱく質解析手法はがんだけでなくアルツハイマー病など難病治療への応用も見込める。将来は解析成果を生かした抗体医薬品の開発など、創薬分野にも進出する方針だ。

<処理から解析へ一貫体制を構築:いちよし経済研究所の山崎清一主席研究員>

 メディカル・プロテオスコープは英製薬会社出身の研究者が在籍し、解析ノウハウを確立している。プロテオーム解析は装置だけで結果を出せるものではなく、研究サンプルの処理からデータの解析まで一貫した体制を構築した点が強みだ。

 東京医科大学との共同研究で血液サンプルを集めやすい点も強みだ。製薬会社との提携による成果も上がってきている。今後は創薬分野などの事業を伸ばすために、製薬会社との一層の協力が課題になるだろう。(記事抜粋)

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