肺がん薬「イレッサ」めざせ適切な投与(2005.5.2:日経産業)

 

副作用が問題になった肺がん治療薬「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)の影響を予測する研究が本格化している。厚生労働省は使用継続を決めたが、どのような患者で効果があり、副作用が起きるのかは明らかになっていない。効果や副作用に関係しているタンパク質や遺伝子が解明されれば、薬の適切な投与が可能になるとみられている。

 イレッサは発売当初、副作用が少ないといわれていた。錠剤で簡単に服用でくることから多くの肺がん患者が服用したが、間質性肺炎という重症の副作用で亡くなる人が相次いだ。

 さらに、製造元のアストラゼネカ社が海外二十八ヶ国で実施した臨床試験での延命効果がなかったとこから、厚生労働省は使用を継続するか検討していた。

 三月末、厚労省は副作用の危険性が高いとされる男性や喫煙暦のある人には慎重な使用を求めたが、禁止はしなかった。危険性は高くても、「効果のある患者や副作用が起きない患者がいるため」(検討会座長の松本和則・国際医療福祉大学教授)だ。

 副作用の危険因子に関するデータが乏しいため、アストラゼネカは副作用の発生に関する疫学調査を今年実施する予定だ。

 分析会社、メディカル・プロテオスコープ(東京・新宿)は、副作用が起きた患者の血液にどんなたんぱく質がふくまれているのか分析中だ。患者の血液から取り出した一万種類以上のたんぱく質の断片を、質量分析装置で調べている。副作用を起こした患者と、起こさなかった患者合計百人分のデータを比較して副作用が起きた患者に特有のたんぱく質を見つけ出そうとしている。

 現在、間質性肺炎に関連したたんぱく質を十数種類まで絞り込んだ。同社と共同研究している東京医科大学の加藤治文教授は「100%の確度で診断できるようにするのが狙い」という。患者への負担が少ない血液検査で診断できれば、副作用が起きるか否かを容易に予測することが可能になる。 (記事抜粋)

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